検察の控訴断念で無罪判決が確定する袴田巌さんには、請求に基づき国から補償が行われることになります。
袴田巌さんは、47年以上拘束されたため、補償金は最大で2億円を超えると考えられます。
袴田巌さんは、1966年8月18日に4人を殺害した容疑で逮捕され、2014年3月27日に釈放されるまで約47年7か月拘束されました。
1966年と古い事件なので、若い世代の人は知らない人も多いかも知れません。
簡単に袴田事件がどのような事件なのか説明します。
袴田事件
袴田事件(はかまだじけん)は、1966年に日本の静岡県で発生した強盗殺人事件の事です。
この袴田事件は、当時プロボクサーだった袴田巌(はかまだ いわお)が逮捕・起訴され、最終的に死刑判決を受けたことで注目を集めました。
しかし、事件の捜査や裁判における問題点が後に浮上し、再審請求が続けられてきました。
袴田事件の概要
1966年6月30日、静岡県清水市(現在の静岡市清水区)でみそ製造工場を経営する一家4人が殺害され、家が放火されました。
警察は捜査の結果、当時工場で働いていた袴田巌を容疑者として逮捕しました。
袴田巌さんは取り調べの過程で自白しましたが、後にその自白は拷問によって強要されたものだと主張しました。
裁判と判決
裁判では、袴田が事件現場で見つかった血痕のついた衣服を着ていたことや、彼の自白が証拠として採用され、1968年に静岡地方裁判所で死刑判決が下されました。
その後、上訴が行われたものの、1976年に最高裁判所で死刑が確定しました。
再審請求
袴田巌の弁護団や支援者たちは、捜査や証拠に問題があるとして再審を求め続けてきました。
特に、血痕のついた衣服が袴田のものではない可能性があることや、自白の信頼性が問題視されました。
DNA鑑定の結果や新たな証拠が提出されたことで、2014年に静岡地方裁判所が再審開始を決定し、袴田巌さんは48年ぶりに釈放されました。
袴田事件は、日本の刑事司法制度における自白偏重や冤罪問題を象徴する事件として、大きな関心を集めていました。
補償金2億円は妥当なのか?
刑事補償法によると、刑事事件で身柄を拘束され無罪が確定した場合、拘束期間1日あたり1000~12500円を補償すると規定されています。
請求を受けた裁判所が、精神上の苦痛や、警察、検察の過失の有無なども考慮して補償額を決めることになっていますが、袴田巌さんの弁護団は補償金2億円では不十分として、国家賠償請求訴訟の提起も考えていると報じられています。
人生のほとんど47年7ヶ月も拘束され、2億円以上と言われる補償金は妥当だと思いますか?