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和歌山毒物カレー事件 事件の影響の大きさ

夏休みも中盤になり、世間ではお盆休みに入っている人も多いと思います。
各地で夏祭りや花火大会も開催され、楽しい夏休みをお過ごしでは無いでしょうか?

ただ、そんな楽しいはずの夏休みですが、ある事件がキッカケで夏祭りが開催されていない地域があるのをご存知ですか?
それが17年前の、

「和歌山毒物カレー事件」

です。
 和歌山毒物カレー事件の起こった地域では、昨年夏まで16年連続で中止されているそうです。
 和歌山毒物カレー事件のあった園部の子どもたちは、かつて住民交流の場だった夏祭りの楽しさを味わえずに夏休みを過ごしています。

 今年も7月は終わり、夏祭りの予定もないまま8月になりました。
地域に夏祭りが戻る日は来るのでしょうか。


和歌山毒物カレー事件
場所 日本の旗 日本 和歌山県和歌山市
標的 夏祭りに集まった一般市民
日付 1998年7月25日(日本時間)
被害者人 67名
武器 亜ヒ酸を混入したカレー
死亡者 4名
犯人 2名
和歌山毒物カレー事件は、1998年7月25日夕方、和歌山県和歌山市の園部地区で行われた夏祭りにおいて、提供されたカレーに毒物が混入された事件です。
主婦の林眞須美が犯人として逮捕され、2009年5月18日には最高裁判所にて死刑が確定したが無実を訴え再審請求中です。

和歌山毒物カレー事件の概要

事件 
1998年7月25日に園部地区で行われた夏祭りで、カレーを食べた67人が腹痛や吐き気などを訴えて病院に搬送され、4人(64歳男性、54歳男性、16歳女性、10歳男児)が死亡しました。

当初保健所は食中毒によるものと判断したが、和歌山県警は吐瀉物を検査し、青酸の反応が出たことから青酸中毒によるものと判断しました。
しかし、症状が青酸中毒と合致しないという指摘を受け、警察庁の科学警察研究所が改めて調査して亜ヒ酸の混入が判明する事となりました。

逮捕後 
1998年10月4日、知人男性に対する殺人未遂と保険金詐欺の容疑で主婦・林眞須美が逮捕されました。
さらに12月9日には、カレーへの亜ヒ酸の混入による殺人と殺人未遂の容疑で再逮捕されています。

林眞須美は容疑を全面否認したまま裁判へと臨み、第一審の和歌山地裁の初公判では5220人の傍聴希望者が出ました。(これはオウム真理教事件の麻原彰晃や覚せい剤取締法違反の酒井法子に次ぐ記録であり、事件発覚前に無名人だった人物としては最高記録である)


裁判 
裁判で検察側が提出した証拠は約1700点に及びます。
1審の開廷数は95回、約3年7か月に及びました。
2審は結審まで12回を要しました。
直接証拠も動機の解明もできていない状況の中、上告審では弁護側が、
「地域住民に対して無差別殺人を行う動機は全くない」
と主張したのに対し、最高裁は判決で、
「動機が解明されていないことは、被告が犯人であるとの認定を左右するものではない」
と述べ、動機を解明することにこだわる必要がないという姿勢を示しました。

第一審・控訴審の大阪高裁において共に死刑判決を受け、林眞須美側は上告したが、2009年4月21日に最高裁判所が上告を棄却。判決訂正も5月18日付で棄却したため林眞須美の死刑が確定しました。

2015年現在、林眞須美は大阪拘置所に収監されており、戦後日本では11人目の女性死刑囚です。
現在は再審請求中となっています。
2014年3月、林眞須美は支援者の釜ヶ崎地域合同労働組合委員長・北大阪合同労働組合執行委員長稲垣浩と養子縁組して名字が変わっています。

裁判の反響
1審において被告人が完全黙秘を行い、メディアがこれについて批判的な報道を行ったため、1審の判決文において黙秘権の意義に関し、専らメディア向けとみられる一般的な判示がなされるなど、刑事裁判の在り方の点から見ても特異な事件となりました。

最高裁では、犯行に使われたものと同一の特徴を持つヒ素が林眞須美被告の自宅等から発見されたこと、被告人の頭髪から高濃度ヒ素が検出されたことなどから
「被告が犯人であることは合理的な疑いを差し挟む余地がない程度に証明されている」
とし、弁護側が主張した、
「被告人には動機がない」
との主張に対しては、
「動機が解明されていないことは、被告が犯人であるという認定を左右しない」と退けました。

ビデオ映像の証拠採用
裁判では、被告人が事件について語りテレビで放送された、
「ビデオ映像の証拠採用」
についても争点となりました。これは事案の重大性の中で黙秘を続ける被告人の事件に関する言葉が得られない中で、テレビ局の取材に対して被告人が事件に関するインタビューに応じているという事情があったため、真実解明という点で検察がテレビ局の被告に対するインタビュー映像を証拠申請をしていました。
それに対し、報道機関からはビデオ映像を証拠採用されることは取材方法に対する権力の介入として反発し、弁護側も誘導による不正確な発言及び意図的な編集の可能性から証拠採用に反対しました。

裁判所は数少ない被告人の事件に関する証言として、民放4社6番組から収録されたインタビュー映像計約13分間分を、
「言動が趣旨を異にすることなく再現されている」
として供述録取書として採用しました。また裁判所は、
「報道機関が報道し、国民の多くが知っている情報を、なぜ真実の追求を目的とする刑事裁判で証拠としてはならないのか、理解に苦しむ」
と判決文で述べ、ビデオ映像採用に反発する報道機関に苦言を呈しました。

被害者の症状
和歌山毒物カレー事件で生存した63名について、和歌山県立医科大学皮膚科が行った調査があります。
たとえば、事件後二週間に被害者の多くに共通して見られた兆候は、次のとおりでした。

吐気 92%
嘔吐 94%
下痢 54%
低カリウム症 60%
白血球増加 60%
QT延長症 51%


冤罪の可能性
和歌山毒物カレー事件では、当初から直接証拠がなく、状況証拠の積み重ねだけで有罪とされたが、不自然な点が多く識者から冤罪を指摘する声も多く上がっていました。

「批判を承知であえて言えば、本人が容疑を否認し、確たる証拠はない。そして動機もない。このような状況で死刑判決が確定してよいのだろうか」
(田原総一朗)

「私のわだかまりも、この「状況証拠のみ」と「動機未解明」の2点にある。事件に、眞須美被告宅にあったヒ素が使われたことは間違いない。ただし、そのヒ素に足があったわけではあるまいし、勝手にカレー鍋に飛び込むわけがない。だれかが眞須美被告宅のヒ素をカレー鍋まで持って行ったことは確かなのだ。だが、果たしてそれは本当に眞須美被告なのか、どうしたって、わだかまりが残るのだ」
(大谷昭宏)

「2審判決は「誠実に事実を語ったことなど1度もなかったはずの被告人が、突然真相を吐露し始めたなどとは到底考えられない」と言ったが、これは実質的に黙秘権侵害です」
(小田幸児 - 林眞須美の1審、2審、上告審弁護人)

裁判で林眞須美の犯行と断定される上での唯一の物証で決定的な証拠となっていた亜ヒ酸の鑑定において、犯行に使われたとみられる現場付近で見つかった紙コップに付着していたヒ素(亜ヒ酸)と、林邸の台所のプラスチック容器についていたヒ素、カレーに混入されたヒ素が東京理科大学の中井泉教授による鑑定の結果、組成が同一とされたが、のちに中井教授は依頼された鑑定の内容は、林邸のヒ素と紙コップのヒ素とカレーのヒ素の3つにどれだけの差違があるかを証明することではなく、3つの資料を含む林邸周辺にあったヒ素のすべてが同じ輸入業者経由で入ってきたものだったかどうかを調べることだと理解し、それを鑑定で確認したに過ぎなかった。
このため有罪の決め手となった3つの資料の差違を詳細に分析はせず、3つの資料を含む10の資料のヒ素がすべて同じ起源であることを確認するための鑑定を行っていたにすぎなかったのです。
当然ながら、林眞須美が自宅にあったヒ素を紙コップでカレーに入れたことを裏付けるためには、3つのヒ素の起源が同じであることを証明しただけでは不十分であり、その3つがまったく同一でなければならないのです。
弁護側の依頼で鑑定結果の再評価を行った京都大学大学院の河合潤教授により3つは同一ではないと評価されました。

その他
障害者郵便制度悪用事件で村木厚子を取調べ中に、担当だった國井弘樹検察官は、村木に向かい、
「あの事件だって、本当に彼女がやったのか、実際のところは分からないですよね」
といい、否認を続けることで冤罪で罪が重くなることを暗示し自白をせまったそうです。

フジテレビ『ニュースJAPAN』で、安藤優子キャスターが事件の注目人物であった逮捕前の林眞須美にインタビューを試みています。
逮捕前だったこともあり、注目人物であった林眞須美の名前をピー音を被せて名前を匿名化していたが、編集ミスで1か所だけピー音が入っていなかったためその部分だけ「林さんは…」という言葉がのって放送されました。
この事件では報道で「毒入りカレー」と言う文字が前面に出ていたためにカレーライスのイメージが悪くなり、食品会社はカレーのCMを自粛し、料理番組でもメニューをカレーにすることを自粛しました。
また、テレビアニメ『たこやきマントマン』と『浦安鉄筋家族』では、ストーリーにカレーが出る回が放送されなかった(これらの回は、前者は再放送時に初放送され、後者はVHSビデオ化の際に収録された)。
ちょうど夏祭りの時期だったことから、犯人逮捕前は、各地の夏祭りなどで食事の提供が自粛されるなどの騒動に発展する事になりました。
林眞須美が逮捕前にミキハウスのスウェットシャツを着用していたニュース映像が大量に流れたため、ミキハウスのブランドイメージが打撃を受けたと言われています。
その後判決公判などのニュースで映像を再使用する際はブランドロゴをぼかし処理で隠す配慮が見られるようになりました。
事件後、林眞須美の自宅の塀に『人殺し』などと大量に落書きされ、ベルリンの壁のような状態になったが、自宅そのものは、2000年2月に放火によって全焼し解体され、跡地は公園になっています。
使用された毒物の組成を調べるために、SPring-8を使用した。
この事件後、飲食物に毒物を混ぜるといった模倣犯の犯行が多数起きました。
自殺サイト殺人事件の犯人の実父は、この事件の捜査をしています。
林夫妻は白いビュイック・パークアベニューを愛用していて、運転はもっぱら眞須美が担当していたそうです。
2012年、再審請求中の林眞須美は事件の裁判において虚偽の証言をしたとして、100万円の損害賠償を求めて夫を提訴しました。
その他、週刊朝日の調べにより、マスメディア関係者や事件の発生地の地元住民、生命保険会社に勤務していたときの同僚など、計50人ほどを相手に訴訟を起こしていることが判明しています。
しかし、弁護士も立てていないため訴訟の遂行は難しいそうです。
かつてメディアを相手に500件以上の訴訟を起こしたロス疑惑の三浦和義は生前、被告を支援しており、林眞須美に対しマスメディアを訴えることを勧め、手紙や面会で方法まで伝授していたそうです。
これに対し林眞須美も「三浦の兄やん、民事で訴えちゃるって、ええこと教えてくれた」と答えたそうです。

今後、和歌山毒物カレー事件がどのように解決しても、地域や被害者の方々の中で解決する事は無いのでしょう。


「和歌山毒物カレー事件」
この事件が与えた影響の大きさを改めて感じます。

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